見守るむずかしさ

唐突ですが、あなたが教育を任されたとしたら、どちらの部下を育てるのがラクだと思いますか?


  1. 期待に応えてくれる、成績優秀なデキる人
  2. 凡ミスを繰り返し、結果を出せない残念な人

はい、聞かれなくても1️⃣の人でしょう。

しかし、人を育てる面から言うと、2️⃣の人のほうが成長スピードが早いんですよ。少なくとも私が人材育成をしてきた経験値を振り返ると、間違いなく2️⃣の残念なタイプの人でした。

なぜなら、2️⃣の残念なタイプの人は、ミスを繰り返す原因や結果が出ない要因を見つけて、改善する目標を持たせることができるので、伸びしろがあります。逆に1️⃣のデキるタイプの人は優秀なだけに、成績トップなら「やった!」で終わりです。たまたま取引先に恵まれて想定外の売上につながっただけかもしれないですよね。そういう意味では2️⃣の人のほうが、難易度が高いのです。


今回は人を育てるポイントを3つ厳選してお話しします。最後まで読んでいただけると幸いです。


【ポイント】

  1. 聞く姿勢
  2. 「指示」より「共感」
  3. 相手の目線


聞く姿勢

たとえば、部下が取引先との商談の末、100点までとはいかないが、70点くらいの結果を報告してきたら、「おお、すごいじゃん」と思う人もいれば、「もうちょっと頑張らないとね」と思う人もいますよね。でも、これはすべて主観でしかありません。報告をした部下の評価は関係ない。言ってしまえば、どうでもいいのです。だから、基本的にまず「どう思っているの?」と、本人がどう思っているのかを聞きます。


すると、たとえば「すごく嬉しかったです!今回の取引先はかなりハードルが高くて、3割り程度の反応を予想していたのですが、7割がた私の提案を受け入れていただけたので、ホッとしました。」といった話が出てきます。逆に「感触は一番よかったけれど、決断していただけず悔しかった」という人もいるでしょう。本当にいろいろな感想が聞けます。


本人の感想を聞いたら「よかったね、嬉しかったね」とか「そうか、それは悔しかったな」と共感しましょう。結果によって頭ごなしに叱ったりするのではなく、そこから学べることを一緒に見つけていく姿勢が大切です。


「指示」より「共感」

私は1200人以上の個別指導をしてきましたが、その中には最初からとても優秀な人もいました。それは、こちらがコーチングするまでもなく、やるべきことがわかっていて、ちゃんと行動できる人です。一方で、上司の指示を待っていて自分から動けない人。指示をされても動けない人もいます。「一体この差は何なんだろう」と考えていたら、とても単純なことに気づきました。それは、


優秀な人材の上司は、

 \ \  みんな「天然ボケ」/ /

だったのです。😁(失礼!)



私はその優秀な人に「〇〇さんの上司ってどんな人なの?」と聞いてみました。すると必ず「うちの上司は天然でヤバい」と返ってきます。その上司に直接「〇〇さんすごいですね、指導の秘訣は何かあるんですか?」と聞くと、「よく聞かれるんですけど、私って本当にダメで何もできていないんです。〇〇さんに怒られてばかりで、他のメンバーにも呆れられています」とおっしゃいます。


最初は謙遜しているのかなと思ったのですが、どうもそうではないようで…。「大事な会議に出るのを忘れちゃうし、いろいろなものを失くすし困ったものです」といった、エピソードがどんどん出てきます。なるほど、これは相当だな~と納得します。


逆に、自分からなかなか動けない人の上司は「超デキる人」だったりします。タスク管理をして的確に指示を出せてしまう、敏腕リーダーのように「あなたはこれをやって」と指示をしてチェックするのが得意なタイプです。すると、当然ながら部下は指示待ち族になります。それは、余計なことをするより言われたことをやったほうが安全ですからね。


でも、会社の外に出たらそんな指示を出してくれる人はいません。結局、「使えないヤツ」と言われ、自立がむずかしくなります。


デキる人ほど見守るのはむずかしいものですが、口出しするのをグッとこらえて、「天然ボケ」のタスクを課してみるのも得策かもしれませんね。(*^^)v


部下が成功だとか失敗だとか思っていることに対して共感するだけで、自然に頑張ってくれますからそれだけでいいんですよ。


相手の目線

見守るむずかしさを感じたら、部下の目線を体感してみるといいでしょう。それは、あなたにとって簡単にできること、たとえば「取引先との商談の仕方」のようなことは、多くの人にとって見守るのがむずかしいことです。「まずは先方との経緯を調べて、提案する企画のメリットを伝えるだろ?先方の様子を見ながら…」と、経験のある者にとってはたやすいことです。でも、初心者にとってはすごくむずかしい。丁寧に同行して見せるのがわかりやすいですが、言葉で伝えるなら「まず相手を見て」というところからです。どこに目線を合わせて進めていくのかを順番に教えてあげるひと手間が必要です。


多くの経験を重ねて来ただけ、何も知らなかった頃の目線を忘れてしまっているのかもしれません。
(もれなくわたしもその一人です(-_-;))


最後にそれを思い出すためのオススメの方法があります。

わが家には愛犬が1匹おりまして、親バカながらに毎日写真を撮ってニヤけています。そんな調子なので、気がつけばスマホの中は愛犬の写真で埋め尽くされています(#^^#)。そのうち「おなじ撮るなら、もっと可愛く撮れないものだろうか?」と、被写体の撮り方をあれやこれやと工夫するようになりました。そこで、カメラの目線を愛犬の目線に合わせてぐぅーーーっと低くかがんで撮ってみたのです。(ほぼ地面の高さです。笑)

その時「ああ、この子(愛犬)はこんなに地面に近いところで生きているんだな」と気づきました。人間は巨人のようだし、いろいろ届かない場所がある。見えないものもある。それりゃぶつかるよなとか、転ぶよなとか、いろいろ気づけるんですよね。


だから、気持ちのうえで同じ目線の高さを取り戻せると、きっと部下を見守りやすくなるはずです。


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