心理的安全性と「魔物の言葉」
1年が経つのは本当に早い!もう師走ですね。( ´Д`)=3
世間はクリスマスムード満載できらびやかな街並みになり…、スーパーではクリスマスケーキとおせちや正月飾りが並んでいる光景も見られます。
(笑っちやうけど、現代は当たり前のようですね)
一方で、12月こそ稼ぎ時のサービス業や販売業等の方々にとっては、やる気と緊張感がみなぎる時期でもあります。
人材育成の視点から申し上げると、12月は
\ 振り返りの月 /
になります。個人でも今年一年を振り返って、どのくらい成長したか?またはしなかったのか?という事実に気づくことで、来年の目標を立てますよね。人材育成も同じです。
今回は、人材育成に真摯に向き合っている上司(管理職)の方々に、
\ 善意の皮を被った魔物の言葉 /
についてお話いたします。最後まで読んでいただいて、ご自身との答え合わせのお役に立てれば幸いです。
【目次】
- 「指示」が曖昧になっていませんか?
- 「不安」を促す話し方をしていませんか?
- 「放置」を黙認していませんか?
- 「責任」から逃避していませんか?
「指示」が曖昧になっていませんか?
- 「この資料、まとめておいて。」
- 「〇〇さん(顧客)からクレーム来てんだけど、すぐ行ってきて!」
1-a : 相手を信頼し自信を持たせようとする言葉に聞こえます。しかし、このように言われた部下の身になって考えてみてください。どのようにまとめたらいいのか?さっぱりわかりませんよね。
⇒ 「この資料、今月末の◯◯時の会議に必要です。火曜・木曜の〇〇時に進捗確認しますが、進め方はアナタの判断に任せます」と、相手の仕事状況を確認しながら、仕上げの時間などを明確に伝えてあげられるとわかりやすいですよね。部下にとっても、今自分が抱えている仕事の優先順位を考えながら、相談ベースで前向きに捉えることができるでしょう。
2-a : このケースも「命令」です。部下の立場にしてみれば、クレームと聞いただけでビビるのみ。頭の中はパニック状態になることでしょう。まずは上司(あなた)が、その顧客と部下との進捗状況をどの程度、把握しているのかが問われます。実際に、顧客からのクレームとなれば、部下だけの責任にとどまらず、上司はもちろんのこと会社にとっても一大事になる可能性をも、視野にいれて対応しなければなりません。日常的に部下とのコミュニケーションがとれているのであれば、
⇒「ここのクライアント(顧客)、〇〇さんが前から気難しくて緊張するって言ってた相手かな。クレームがあったんだけど、何か心当たりあるか?」とか、部下に寄り添う姿勢で一緒に対峙できるとベターですね。
「不安」を増す様な話し方をしていませんか?
1.「何か意見はありますか?」
2.「いつでも相談して」
1-a :一見 、会議への参加を促す言葉に聞こえるかもしれませんが、強制的な参加要請であり、相手のタイミングや都合を考えていません。また、十分な検討時間が無い為、表面的な意見しか得られないと考えられ形だけの意見収集に終わり、メンバーの真意や建設的な提案を逃してしまうでしょう。
⇒「この件について来週の会議までに、皆の意見をまとめておいて下さい」など部下が適切なタイミングで、いつまでに何を、という明確な意見を言える環境づくりが大切です。そして“必ず”出された意見への検討結果を共有するフィードバックも必須です。
2-a :これも一見、相手を気遣う優しい言葉に聞こえますが、“いつでも”という曖昧な表現は、かえって相手の不安を高めてしまいます。部下は相談のタイミングに悩み、結果として相談するハードルが上がってしまうのです。
⇒「毎週木曜日の14時~16時が相談時間として確保出来るので、声を掛けて下さい」など具体的な時間を示す事で相手は気兼ねなく安心して相談できるような環境づくりを心掛けていく事が大切です。
「放置」を黙認していませんか?
1.「失敗も将来の財産になるから」
2.「みんなで仲良く」
1-a : この言葉も失敗を前向きに捉えさせようとする励ましに聞こえるかと思います。しかし、組織として取り組むべき課題を個人の経験値に置き換えてしまう事に加え、目の前のミスや失敗による苦しみを軽視してしまう場合があります。結果として、問題の本質的な解決を遠ざけ、本音での対話を阻害してしまう可能性を秘めています。
⇒「ミスや失敗を防ぐため、チーム全体で改善方法を検討しよう。」と現在の課題に向き合い、共に解決する姿勢が必要です。ミスや失敗を個人の経験とするのではなく、チームとして向合って共に成長する機会とする事が大切です。
2-a :チームワークを重視する良い言葉にも聞こえますが、表面的な調和を重視するあまり、必要な意見や反論を抑制し、建設的な議論や対立を避ける雰囲気が懸念されます。
心理的安全性とは単なる「仲の良さ」ではなく、健全な対立や意見の相違を受け入れられる状態を言います。
⇒「色々な意見を出し合う事がチームの成長につながります」と責任者自らアナウンスする事が好ましいです。建設的な議論を歓迎する姿勢を見せ、表面的な調和ではなく、本質的な対話が出来る環境と組織づくりを心掛けていきましょう。
「責任」から逃避していませんか?
1.「あなたならできるはず」
2.「自由にやってみて」
1-a :この言葉も相手を信頼し、自信を持たせようと発したように聞こえます。しかし、相手には期待に応えなければならないという過度なプレッシャーを与え、出来なかった場合の失態を過剰に恐れてしまいます。そうなるとミスや困難に直面した際の報告を躊躇させ、問題をより深刻化させるリスクも上がります。
⇒「サポートもするし、一緒に課題を進めよう」と具体的なサポート内容を示し、共に取り組む姿勢を伝える事が大切です。部下の成長を支援する言動・行動こそが、信頼関係を築く第一歩です。
2-a :これは相手に裁量権を与える信頼している言葉に聞こえますが、期待されているゴールや許容範囲が不明瞭で、部下からすると後から“そうじゃなかった”と指摘されそうで恐ろしいです。また、実際には細かく管理されることによる不信感が生まれる最悪な指示です。また組織としてのサポート体制が見えず、孤独な挑戦を強いられている印象を与えてしまいます。
⇒「予算と納期以外は自由に判断してみて下さい」などサポート内容の提示や定期的な進捗確認はもちろん裁量権の範囲と期待値は具体的に示す必要があります。明確な範囲設定と信頼関係の構築が、確実に本来のスキルアップの手助けになって行きます。
まとめ
上記に挙げた会話の多くが、上司が部下へ善意から発せられながらも、結果として心理的安全性を大きく損なってしまう「魔物の言葉」の一例です。
その場では会話が成立しているように見えても、実は「何も決まっていない」のです。
本来、上司からの指示が曖昧な場合は部下から
「具体的には〇〇はどうですか?では〇〇の場合はどうですか?」と質問する必要がありますが、「怒られるかもしれない」「聞きづらい」という感情が芽生えることもあります。
具体的な指示が出来ていないまま、部下が曖昧な気持ちで課題を進めていた場合は決まって
「おまえは人の話を聞いていない」となる事でしょう。
仕事をするうえで「人の話を聞く」とは「認識の齟齬をなくす」ことなのです。
ビジネスマンである私達は対価をもらい仕事をしているプロフェッショナルなのです。
プロフェッショナルとして当たり前の仕事をするためには、自分の感情をコントロールして「曖昧さの排除」を徹底し伝えることが必要だと考えます。
是非、曖昧な言葉を一切排除し明確に指示するというコミュニケーションに臨んでみてください。どれほど曖昧な言葉があふれているかに気付き、皆様の組織や職場が更なる営業の強みとして飛躍する事を願っております。
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